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押印と捺印の違いとは?ビジネス文書での使い分けと電子化のポイント

Index

    1. 押印と捺印の基本的な意味

    「押印」とは

     「押印(おういん)」とは、「記名押印(きめいおういん)」を省略した言葉です。行為としては自筆以外の方法で名前が記された書類に印鑑を押すことを指します。
    押印は「本人がその文書内容を承認した証拠」としての意味を持ちます。

    💡豆知識💡
    なお、「署名」は本人が自らの手で名前を自筆することをいい、誰が書いたかが明確であるため本人の意思を強く推定することができます。これに対し「記名」は、印字やゴム印、スタンプなどにより氏名を表示する行為を指し、署名に比べて本人確認の確実性はやや低いとされています。

     「捺印」とは

     「捺印(なついん)」は、文書に印章を押すという点では押印と同じですが、主に本人が直接印を押す行為に対して使われます。押印よりもやや形式的でなく、実務的なニュアンスを含みます。

    押印と捺印の違い

    「押印」と「捺印」は言葉としての使い方に違いがあるものの、法律上の効力(法的効果)については差がありません。

    2. 押印・捺印の使い分け

    ビジネス文書での一般的な使い方

    ビジネス現場では、書類の種類や相手先に応じて「押印」「捺印」が使い分けられています。
    (例)稟議書や契約書:正式な場面では「押印」、メモや簡易的な承諾書など:カジュアルに「捺印」
    ※実際の使い分けは文脈や会社文化にも左右されるため、完全なルールがあるわけではありません。

    契約書・稟議書などでの使い分け例

    『契約書』:法的効力を持つため、「押印」が推奨されます。
    『稟議書』:社内文書であるため「捺印」でも問題ないケースが多いが、正式な承認印として扱う場合は 「押印」が使われます。
    『請求書・見積書』:取引先に提出する文書では、「押印」の表現が一般的です。

    社内ルールによる違いに注意

    企業によっては、「押印=実印または代表印」「捺印=認印」という独自の定義がされていることもあります。したがって、新しい職場や取引先とのやり取りの際には、社内規定や慣習を確認することが重要です。

    3. 押印の法的効力

    押印が必要なケースとは

    以下のような場合、押印によって文書の有効性や本人確認の役割を果たします。

    (例)
    ・契約書
    ・委任状
    ・遺言書(自筆証書遺言)
    ・公正証書の正本受領時

    特に、民事訴訟において証拠力が重要になる場合、押印の有無が争点となることもあります。

    押印が不要なケースとは

    一方、民法や商法上、文書への押印は必須条件ではないケースもあります。

    (例)
    ・簡易な合意書(電子メールでの合意など)
    ・一部の請求書・領収書
    ・内部文書(議事録、業務連絡等)

    ただし、相手先や監査対応の観点から「形式上の押印」が求められることも多いため、実務では押印が行われるのが通例です。

    4. 電子押印・電子署名との関係

    電子押印の仕組みと法的根拠

    電子押印とは、紙の印鑑の代わりに、電子データ上で印影を表示したり、電子署名を付与したりして文書の作成者や承認者を示す仕組みです。
    その法的根拠は「電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)」にあり、同法第3条により、本人によって行われた電子署名は自筆の署名や押印と同等の効力を持つとされています。
    つまり、本人確認と改ざん防止が技術的に確保されていれば、電子押印も紙の押印と同じ法的効果を持つと認められます。

    電子契約との違い

    『電子押印』:紙文書の代替的手段。形式的な「はんこ文化」をデジタルに再現。
    『電子契約』:クラウド上で契約内容の確認・承認・署名を完結。真正性・非改ざん性を保証する仕組み。

    本質的には「電子契約」の方が法的効力や安全性が高く、今後の主流になると見られています。

    押印業務のデジタル化が進む背景

    働き方改革やテレワークの普及、また紙文化からの脱却の流れを受け、押印業務のデジタル化は加速しています。2020年以降、政府も押印の廃止を推進しており、多くの企業が電子契約サービスやワークフローの見直しを進めています。

    5. 押印業務を効率化する方法

    押印・承認のオンライン化

    紙の書類に印鑑を押す従来の方法では、担当者の出社が必要だったり、物理的な移動時間がかかるなどの課題がありました。オンラインでの押印・承認の仕組みを取り入れることで、業務のスピードが飛躍的に向上します。

    ワークフローシステムでの承認管理

    業務の効率化とガバナンス強化を両立するために、多くの企業がワークフローシステムを導入しています。「Styleflow」のようなシステムを活用することで、

    1.承認のプロセスを可視化
    2.承認ステータスをリアルタイムで管理
    3.過去の承認履歴の検索・監査対応もスムーズ
    といったメリットが得られます。

    また、電子押印ツールとワークフローシステムを組み合わせて運用することで、より安全かつ効率的な業務プロセスを構築することが可能になります。ペーパーレス化が進む中で、こうした連携によるシームレスな承認フローの実現は、企業にとって大きな競争力となります。

    6. まとめ

    「押印」と「捺印」は似たようでいて、使われる場面や法的なニュアンスに違いがあります。特に契約書や稟議書など、企業活動の根幹を支える文書においては、正確な使い分けと法的理解が重要です。また、昨今では電子押印・電子契約の活用が急速に進んでおり、業務の効率化とコンプライアンス対応の両立が求められています。

    今後の働き方に備えて、自社の押印・承認フローの見直しと、デジタル化の第一歩を検討してみてはいかがでしょうか。

    ワークフローシステムを導入することで、業務の可視化、自動化、通知機能によるスムーズな運用が可能になります。Styleflowでは、直感的なUIでフロー設計が可能で、誰でも簡単に自社の業務に合わせたカスタマイズが行えます。

    💡主なStyleflowの機能💡

    ー申請書のフォーマット作成機能

    Styleflowでは、Excel/Word文書を取り込み、フォームを作成することができます。
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    ー承認経路の定義と管理機能

    Styleflowでは、多彩な申請承認ルートを設定できます。企業独自のルールや業務に合わせた複雑なルートも自由に設定可能です。
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    ー通知・リマインド機能

    Styleflowでは、チャットツールと連携して、通知をチャットで受け取ることができます。
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    ー承認証跡・変更履歴の管理機能

    Styleflowでは、、すべての申請・承認に関する操作が自動で記録されます。
    また、申請者・承認者・管理者がそれぞれで編集・参照ができる項目を制御することができます。
    システム化により、承認証跡や変更履歴が自動で記録されるため、不正行為の抑止や、問題発生時の原因特定にもつながります。

    ワークフローシステムを導入し、承認業務を効率化してみてはいかがでしょうか。

    ワークフローを導入するための、最初の一歩が気になる方はこちらをご覧ください。

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